第53章 11組で有名な馬鹿

橘結衣は、南川萌々香の頬に浮かぶ笑みを見つめながら、前の人生で起きた幾つかの出来事を思い出していた。

あの頃、結衣は田中未菜と同じ席になってから少しずつ打ち解け、萌々香が同じ寮にいることも自然と知った。最初のうちは未菜がよく萌々香の話をしていて、口ぶりからして二人はかなり仲が良いのだろう、と結衣も思っていた。

けれど――たしか、初めての月例テストが終わったあたりからだ。

田中未菜は、南川萌々香への愚痴をこぼすようになった。まるで別人みたいに冷たくなった、距離を取られた、言葉で刺されることが増えた――そう言って未菜は傷つき、結局それきり萌々香と関わらなくなった。

当時の結衣は、そこまで...

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